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【2021】第164回直木賞「心淋し川」のあらすじや感想

直木賞

2021年1月20日、第164回直木三十五賞(日本文学振興会主催)の選考会が東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれました。

直木賞には西條奈加さん(56)の『心淋し川』(集英社)が選ばれました。

直木賞2

直木賞は新進・中堅作家によるエンターテインメント作品の単行本(長編小説もしくは短編集)のなかから、最も優秀な作品に贈られる賞で、

第163回直木三十五賞の候補作は

芦沢央『汚れた手をそこで拭かない』(文藝春秋)
伊与原新『八月の銀の雪』(新潮社)
加藤シゲアキ『オルタネート』(新潮社)
西條奈加『心淋し川』(集英社)
坂上泉『インビジブル』(文藝春秋)
長浦京『アンダードッグス』(KADOKAWA)

がノミネートされていました。

加藤シゲアキ『オルタネート』の記事はこちら↓

オルタネート2
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そんな中で受賞した『心淋し川』はどんな小説なのでしょうか?

あらすじや感想・口コミをまとめてみました。

【著者】西條奈加(さいじょう・なか)プロフィール

  • 直木賞3
    西條奈加(さいじょう・なか)
  • 1964年11月9日北海道中川郡池田町生まれ
  • 56歳
  • 東京英語専門学校卒
  • 2005年『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノべル大賞受賞・デビュー
  • 2012年『涅槃の雪』で第18回中山義秀文学賞
  • 2015年『まるまるの毬』で第36回吉川英治文学新人賞を受賞
  • 近著『亥子ころころ』『せき越えぬ』『わかれ縁』など

 

 

 

 

2021直木賞「心淋し川」あらすじ

西條奈加さんの小説は一冊も読んだことがないのですが、「心淋し川」はどんな内容なのでしょうか?

「誰の心にも淀みはある。でも、それが人ってもんでね」
江戸、千駄木町の一角は心町(うらまち)と呼ばれ、そこには「心淋し川(うらさびしがわ)」と呼ばれる小さく淀んだ川が流れていた。川のどん詰まりには古びた長屋が建ち並び、そこに暮らす人々もまた、人生という川の流れに行き詰まり、もがいていた。
青物卸の大隅屋六兵衛は、一つの長屋に不美人な妾を四人も囲っている。その一人、一番年嵩で先行きに不安を覚えていたおりきは、六兵衛が持ち込んだ張方をながめているうち、悪戯心から小刀で仏像を彫りだして……(「閨仏」)。
裏長屋で飯屋を営む与吾蔵は、仕入れ帰りに立ち寄る根津権現で、小さな唄声を聞く。かつて、荒れた日々を過ごしていた与吾蔵が手酷く捨ててしまった女がよく口にしていた、珍しい唄だった。唄声の主は小さな女の子供。思わず声をかけた与吾蔵だったが――(「はじめましょ」)ほか全六話。
生きる喜びと生きる哀しみが織りなす、著者渾身の時代小説。

と紹介されています。

どうやら短編集のようです。

これなら私も読めるかもしれません笑

あらすじを読むと、タイトルにもなっている「心淋し川(うらさびしがわ)」と呼ばれる小さく淀んだ川の近くに住む人たちの話で、人生にもがき、精一杯生きている中での喜びや哀しみを描いている作品ですね。

なんとなく、少し暗いお話のようです。

SNSでは、ドラマや映画になりそうといった声もあり、そうなったら是非見てみたいです。

 

「心淋し川」の感想・口コミ・書評

西條奈加さんの『心淋し川』について、どのように評価されているのかも気になるところ。

感想や口コミをまとめてみました。

https://twitter.com/DDarko1971/status/1349359611225145347?s=20

 

 

やっちゃん
読んでる最中に直木賞受賞!これは嬉しい!江戸時代の小さな町での群像劇はどの話もちょっと切ないけど優しさ滲みる物語です。自分も同じ町人になったかのような気分で読めるのが楽しい。最終話の盛り上げ方も上手い。飯屋の話が特に好き。人は今も昔も変わらないなあ
 
洋梨いちご
西條さんらしい江戸話。心町に集まるそれぞれの事情を抱えた人々。思わず、微笑んでしまう風景もあれば、自分の心の奥底にあるさもしい気持ちを見透かされているような場面もある。貧しさから抜け出すことは難しいけど、人間はたくましいと少し自信がもてる結末でよかった。
 
ぽてち
「こころさびしがわ」ではなく「うらさびしがわ」と読む。江戸の片隅にある場末の地・心町(うらまち)に流れる薄汚いどぶ川のことだ。そこに建つ荒れ果てた長屋に住む人達を描いた6編を収録した連作短編集。どんな境遇にあっても希望を捨てない人の姿が胸に迫る。1話完結でそれぞれに関連はないが、最後の「灰の男」を読むと、そういうことかと腑に落ちる。
 
JADE
「まるで江戸の掃き溜めのように、心寂れた町」に流れ着いた貧しい人々。それぞれの事情や過去を背負いながらも、人として精いっぱい生きようとする彼らの悲哀や儚い望みに胸を打たれた。特に親が子を思う情愛が、胸の深いところに沁みた。読んでいて苦しくなることもあったが、最終章で登場人物たちが幸せに暮らしている姿に触れて、しんみりとやさしい気持ちになれて読了。
 
彼岸花
長屋の辺に位置し、停滞する「心淋し川」。川は、いつも流れ行き、時々にリセットされるものだと思っていた、けれども、それを拒む者の存在も知った。這い上がれずに、悩み、苦しむ人生がある。心町の住民たちも決して例外ではない。底辺ながら、人と人との繋がりが、希望の灯を照らし続けている。『灰の男』では、茂十が、この川の淀みのように、寂寥感を抱えながら生きている。どの時代でも、親子関係は、不変的であると感じた。冒頭からずっとつきまとっていた無常感が、人の情けで少しずつ消え失せていくような、温か味のあるストーリーだった。
 
まとめると、
  • 胸にしみる短編集
  • 人として精いっぱい生きようとする彼らの悲哀や儚い望みに胸を打たれた
  • どんな境遇にあっても希望を捨てない人の姿が胸に迫る
  • ちょっと切ないけど優しさ滲みる物語
  • しんみりとやさしい気持ちになれて読了

読後感は哀しみというよりも温かい気持ちになれて終わるようです。

 

また、『最後の「灰の男」を読むと、そういうことかと腑に落ちる。』

『短編が連作となり、最終話である謎が解けて完結する。』とあるので、最後まで読者を惹きつける仕掛けがあるようです。

そこも楽しみに読めそうですね。

最後に

西條奈加さんの『心淋し川』、私はまだ読んでいませんが、直木賞受賞した作品ですので、面白くないわけがありません。

気になる方は読んでみては。